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グルーヴ探偵ろな!~眠れる森編~ 第九傷 「森ガール(ex マンバ)の女、宮崎そらの依頼 その2」

2010.04.20 Tue
■□ハードボイルド探偵小説~グルーヴ探偵ろな!~■□

俺はグルーヴ探偵ろな、傷だらけさ

特に言うこと無いので、前回のあらすじ的な事を書いてみる…

グルーヴ探偵社の敏腕アルバイト、木村よなの友人で森ガールの宮崎そらは、三年前まで澁谷センター街を中心に活動する伝説のギャルサー「スーパープリティ」のカリスマ的マンバであった。

しかし彼女、体はマンバでも心は森ガール

彼女がマンバである意義を支えていたスーパープリティ代表の姉、みはぐの渡米により
彼女の中のマンバ感が崩壊を始め、森ガールとしての覚醒が始まる

そしてそれを決定付けたのは恋だった

素足にデッキシューズを履いた草食系センターガイ、林田守…



とりあえず俺に仕事をくれ~


それでは第九傷スタート


暖かく、そして柔らかな陽光にも似た波動…

それは緑色のチョッキを着たオカッパの集団の中からであった

こんなグルーヴを出せるのはあいつしかいない、確かにあいつの物だ

でもなんで…、ここはハイサークルタウン、なんでこの街で…

緑色のオカッパ集団とすれ違ったのは一週間ほど前のことだった

丁度仕事が休みだった私は、スケッチ用の画材を買いにイーストストリートへ

途中に通りがかった音楽練習スタジオの前に彼らは居た

どうやらバンドをやっている様だ

それにしても全員見事なオカッパ頭で、木こりを思わせる緑のチョッキに緑のスウェード製チャッカブーツ

しかし、一人だけ足元が違う…

その人の足元は

緑のデッキシューズ…


いったいどんな音楽をやっているのか…と思う間もなく・・・

連中の方にもはや目も向けられない程、私は動揺していた

あの波動、あのグルーヴ、そしてデッキシューズ…

あの中に、あいつが…林田守が居る?

動揺と切なさで胸が一杯になってしまった私は、一瞬立ち止まりそうになったが決して彼らの方を振り返る事無くその場を立ち去った

その後数日間、私は殆ど放心状態

何も手に付かない…

本当にあの波動はあいつのものだったのか…

それとも同じ波動を出せる男子が他にも居るということなのだろうか…



<三年前 澁谷センター街>

「あれ~、そらさんどうしたの? 今日は素顔かい」

林田は屈託の無い笑顔で、何気ない言葉をスッピンの私に向けてきた

とても自然に…

みはぐが去った後の澁谷の味気なさは、私にとって想像以上のものであった

彼女によって支えられていた私の中のマンバ感は日に日に薄れる一方、素顔で居られる時間が増えた私はセンター街にまでも素顔で行く様になっていた

勿論、素顔の私に気付く奴なんてあそこにはいない

いつも私に挨拶をしてくるマンバにセンターガイ…みんな全く気付かず、素通りだ

でもあいつだけ、林田守だけは気付いた…、スッピンの私に…



林田守は、私とほぼ同時期に澁谷入りしたセンターガイだった

07-05.jpg
センターガイじゃなくってセンターGUYだった~

しかし林田は「スープリ」の周りに数多いた凡庸な垢の抜けないガイ達とはまるで違っていた

ガイ達は、私を「マリー女史」とか「マリー様」と呼んでいたが、林田だけはきちんと「そらさん」と名前に「さん」付けで呼んでくれた

髪色こそアッシュグレイでメイクもそれなりに施してはいるのだが、穏やかな瞳と、つややかで枝毛など一本も無いとても美しいロングヘアは、時にはっとする様な幽玄な色気を呈する事があった

服装も至ってシンプルで、他のガイの様にアルバの服などは着ずにトップスはプレーンな濃い目かマドラスチェックの七分袖のシャツ、ボトムはゆったり目のチノパンをロールアップにして履いていた
b048.gif
かつてのギャル御用達ブランド「アルバローザ」、なんでギャルはサーフブランドが好きなんだろ…

hang-ten-g360.jpg
おっさん的にはサーフブランドっていうと、老舗のハンテン、70sモノなんかだと面白いのがあったりする


殊に印象的だったのは素足履きのレザーのデッキシューズ…


彼は「スープリ」の取り巻きとは違っていたので会う機会はそれ程多くなかったが、初めて会った時から例の波動を感じてはいた

彼が自分の中で特殊な存在感を持っている事も無意識レベルでは感じていたかも知れない

当時の私はとても多忙で、みはぐについていく事で頭が一杯であったから、彼の波動と向き合う機会も術も無く、表層意識上では、まだまだ影響度は小さいものであった

「よく判ったね~、あたしって」

「誰も気付かなかったよ、ウチの幹部だってさ、さっきすれ違ったけど普通にスルーして行っちゃったのに~」

私は正直、驚いて訊いてみる

「どこら辺であたしって判ったの? もしかしてみんな気付いてたけど知らない振りしてたとか?」

彼は相変わらず屈託の無い笑顔で

「見た目じゃ誰も判んないよ、なんとなく雰囲気かな~」

「あ、それも多分、僕しか解んないと思うけど…」

その笑顔と柔らかな声の中域が生み出す波動は心地よいグルーヴに変わって行く

その波動、そのグルーヴは澁谷で感じた事の無い、感じるはずの無い物…

そう私が私で居られる場所、奥多摩や高尾の森で感じたグルーヴと同じ質の物であった

「あ、そらさん、これから時間ある?」 

「宇田川町にベーキングパウダー使ってない美味しいシフォンケーキ出すカフェがあるんだけど行ってみない?」

センター街での私は、マンバのカリスマ的存在
気軽に私を誘ってくれる男子など一人も居なかったのに…

彼は、あの人は、全く自然に普通の女子を誘う様に私を誘ってくれた…

緊張と頬の紅潮を必死に隠して、私はうつ向き気味に一言

「うん…」

「じゃ僕もこんな顔じゃあれだからメイク落として来るね…」


素顔の二人は、もうごく普通の若い男子と女子に変わり、澁谷の雑踏に溶け込んで行く


誰にも気付かれずにカフェまで向かう時間の何と心地よいこと…

あの人の素顔のなんと美しいこと…

あの人のグルーヴは澁谷の雑踏を森に変え、私の心を浄化して行く


宇田川町のカフェでの私達は、もはやマンバでもガイでもなかった

大好きな北欧雑貨や家具の話

カメラとスケッチブックを持ってまったりブラブラした話

レイモンド・ブリッグスの絵本の話

犬派?猫派?それとも、うさぎ派?の話

今まで誰にも話さなかった(話せなかった)私の話をした

時間も忘れてたくさん、たくさん…

あの人は楽しそうにうなずきながら私の話を聞いていた

屈託の無い笑顔で…


林田守、あの人も心は「森ボーイ」だったのだ

私は初めて自ら連絡先を聞き、また会う約束を交わした

むろん澁谷ではない場所で…


宇田川町のカフェを出る頃にはもう、私の中のマンバ感は完全に消えうせた

マリー女史でもバラバラのスペシャリストでも無い

宮崎そらは「森ガール」として覚醒したのだ


その夜、私は「スープリ」のメンバー全員にメールを出した


本日をもってスーパー・プリティを解散します




■次回予告

私は木村よな、女探偵かも…

ここはハイサークルタウンイーストストリートのカフェ、「蜂船」

待ち合わせの時間までもうちょっと…

そろそろお友達が来る頃だ

極自然体女子、とってもかわいい森ガール、宮崎そらちゃん

次回、グルーヴ探偵ろな~眠れる森編~ 第十傷 「森ガール(ex マンバ)の女、宮崎そらの依頼 その3」 にご期待!的な・・・



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Theme:自作連載小説 | Genre:小説・文学 |
Category:グルーヴ探偵ろな | Comment(6) | Trackback(0) | top↑ |

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