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世界で最も仰々しい?チャールズ・ステップニーの美学

2012.09.15 Sat
キャンディーズ研究の流れで、久しぶりにスティーヴィーワンダーなぞ聴いてみたりしてたのだが、さらにその流れでミニーリパートンを思い出した。
スティーヴィーは「ラヴィンユー」で知られる、74年のアルバム「パーフェクトエンジェル」をプロデュースしている。

ミニーといえば、僕的にはロータリーコネクションという、彼女が属していたグループがどうしても外せない。
レコードコレクターやDJ、レアグルーヴ好きの人間以外は中々とっつきにくいであろう、めんどくさいグループではあるが・・・。

書こうと思っていてずっと書いていなかったこのグループのプロデューサー、チャールズステップ二ーという人について書いてみます。

ということで、キャンディーズ研究は一回お休みですが、意外にもキャンディーズとの微妙な接点があった?


~シカゴの重要レーベル、CADETのプロデューサーとして~

シカゴの有名レコード会社といえば、何といっても、ブルースやロックンロールファンにはお馴染みのチェスレコード。
Chessrecordslogo.gif
マディウォータズやハウリンウルフといったシカゴブルースの巨人からチャックベリー、ボディドリーといったロックンロールの巨人まで錚々たる面子が録音を残している、まさに「神レコード会社」

チェスレコードの物語は、08年にビヨンセ製作総指揮のもと「キャデラックレコード」として映画化もされた

ビヨンセ自身も「美しすぎるエタジェイムス」役で登場し堂々とした歌いっぷりを披露しているが、如何せん脚本が・・・。良し悪しはともかく、現代の歌姫がプロデュースをかって出てまで「ブルース」を題材に取り上げているのが何とも嬉しい。ちなみにチャールズ・ステップニーは一切出てきません・・・。

チェスはArgoというジャズ系のレーベルを持っていたが、それが発展する形で「Cadet」というソウルジャズ系レーベルが設立された。
Cadet.jpeg
65年に設立されたCadetはネタの宝庫で、DJやレアグルーヴファンにとっては最重要レーベルの一つといえる

そこでアレンジャー・プロデューサとして手腕を振るっていたのがチャールズステップ二ーである。
cmimg_53459.jpg
彼のサウンドメイキングの特徴は、ド派手なオーケストレーション(特にストリングスアレンジとコーラスアレンジ)と当時の黒人ジャズミュージシャンにみられた様なルーツ回帰的なアフログルーヴ、そしてサイケデリックテイストが渾然となった、実験的なサウンドである。
ステップニーは、リチャード・エヴァンスというもう一人の気鋭アレンジャー・プロデューサと共に、ラムゼイルイスやデルズ、マリーナショウ、テリーキャリアー等の重要作を次々と手掛けて行く。

~Cadetのステップニー&エバンス関連曲~

どれも驚異的にヤバイので興味ある方は是非、耳を・・・

・Ramsey Lewis
ソウルジャズピアニストとして人気の高いラムゼイルイスであるがCadetにはステップニー組として自己名義、プレイヤー名義、様々な形で録音を残している

Maiden Voyage 1968
http://www.youtube.com/watch?v=yka6o3gLqZY
Eternal Journey 1968
http://www.youtube.com/watch?v=sVr-VdPyGO4&feature=relmfu
Cadetのセッションプレイヤーで後にEW&Fのドラマーとなるモーリスホワイトが参加、彼も「ステップニー組」であった。ミニーリパートンも超音波(笑)で参加。

Back In The USSR 1968
http://www.youtube.com/watch?v=kq7mW5rPoag
Everybody's talkin 1969
http://www.youtube.com/watch?v=cNv4TLtANIc&feature=relmfu

・The Dells
Love Can Make It Easier
http://www.youtube.com/watch?v=YN2amGEECgc
It's All Up To You
http://www.youtube.com/watch?v=Xc3TOnWuSuk

・Marlena Shaw
Woman Of The Ghetto
http://www.youtube.com/watch?v=4QKZPacCkyE
California Soul
http://www.youtube.com/watch?v=2MMflNf-ocg

・TERRY CALLIER
ORDINARY JOE
http://www.youtube.com/watch?v=f0YOb5IC1js&feature=related
Just As Long As We're In Love
http://www.youtube.com/watch?v=WxIYMlF2gUs

・Phil Upchurch
Crosstown Traffic
http://www.youtube.com/watch?v=QydmTFNZlV8

・Dorothy Ashby
Myself When Young
http://www.youtube.com/watch?v=hl9g10DSQGs&feature=related

・The Soulful Strings
Comin' Home Baby
http://www.youtube.com/watch?v=q7vJPfUviuo

・Ahmad Jamal
Wild is the wind
http://www.youtube.com/watch?v=jMRH0hwdimc


ステップニー、エバンス、ステップニー&エバンスの制作をざっとあげてみましたが、きりが無いのでこの辺で~
「やり過ぎ」を貫き通した孤高のサウンドが最高にカッコいい。

~ブルース界最大の問題作を手掛ける~

68年、保守的なブルース作品の制作に限界を感じていたチェス家の御曹司、2代目社長のマーシャルチェスは、売り上げが伸び悩んでいたブルース界の巨人、二人を使って当時隆盛だったサイケサウンドを取り入れた斬新なブルースアルバムの制作を行った。
二人の巨人とはマディウォーターズとハウリンウルフである。
6a00d8341c630a53ef0105366867a4970c-800wi.jpghowlin-wolf-fifties-460-100-460-70[1]
犬猿の仲であったマディとウルフ

waters_mudd_electricm_101b.jpg3.jpg
マディ最大の問題作?「エレクトリックマッド」

15zoaa1.jpghowlin-wolf-evil-cadet-concept.jpg
そして、ウルフ最大の問題作?「ハウリンウルフアルバム」

ジミヘンにあやかろうと、ワウやらファズやらエコーやら、荒っぽいステレオサウンドに乗っかってシカゴブルースクラシックスがサイケナンバーと化す。
両作品とも収録曲はウィリー・ディクソンナンバーを中心とした代表曲の再録になっているが、オリジナルの原型を全く留める事無く、気持ち悪いまでに解体されている。

例えば、マディの場合

I Just Want To Make Love To You Muddy Waters
これが
http://www.youtube.com/watch?v=RnlvHP1AXPo
こんなに
http://www.youtube.com/watch?v=dvNjZGZ_UjI

ウルフの場合

Smokestack Lightning Howlin' Wolf
これが
http://www.youtube.com/watch?v=VKg0YXigbSs&feature=related
こんなに
http://www.youtube.com/watch?v=LxmFuVhrQoM

90年代のファットポッサムレコードかと思わせる、この違和感と意表を突くサウンドの奇妙な作品は「Cadet Concept」というサイケレーベルからのリリースとなった。
両作品ともバックを務めるミュージシャンはフィル・アップチャーチやモーリス・ジェニングス等キャデットのステップニー組。加えて、後に電化マイルスデイヴィスグループの一員となる、ピート・コージーがモリモリギターを弾いている。
往年のブルースファンには「無かった事」にされ、マディやウルフ本人達も嫌いなこの作品は、白人ファンを中心に結構売れたようだ。

これを、所謂「ブルース」としてマディやウルフの気持ちを考えて聴いてしまうと、非常に心苦しくなってしまうのだが、ひとつの作品としてみた場合、意見は随分変わってくる。
リズムやリフのアプローチ、サウンドコラージュの感覚は当時のサイケテイストを踏まえ、更に90年代後半に近い空気感がある。30年も先を行ってしまうフューチャーサウンドの実験に、何もブルース界の重鎮を引きずり込む必要は無かった様な気がするが、「珍盤・迷盤」という枠を超えた傑作であると思う。


~ロータリーコネクションとミニーリパートン~

チャールズステップニーのCadetにおける仕事として最もインパクトがあるのがやはりミニーリパートンを擁する、プログレッシブサイケコーラスグループ「ロータリーコネクション」の一連の作品だ。
シカゴの熱っぽいソウルジャズグルーヴに乗っかる、ポップミュージックとして聴くにはあまりにも仰々しい壮大なアレンジ、そしてそれを包み込む何ともいえないサイケな浮遊感は、90年代後半イギリスのブレイクビーツシーンの筆頭であった4Heroに多大な影響を与え、「マディやウルフの問題作」以上に洗練された「30年先を行くフューチャーサウンド」であった。
rc4.jpg
サイケ臭プンプンのロータリーコネクションの面々

ロータリーコネクションといえば67年デビュー作に収録されているこの曲がレアグルーヴ世代により注目された代表曲。
Rotary Connection "Memory Band" (1967)
http://www.youtube.com/watch?v=UEVXHGXWNfo
久石譲の名曲「ナウシカ・レクイエム」にも影響を与えた(かどうかは知らないが)、子供ボーカリーズの最高峰。ミニーの超音波は聴けるけど他のメンバーは・・・

そして、実質ステップニーのプロジェクトとして「ザ・ニュー・ロータリー・コネクション」名義で出されたラストアルバムの曲で97年にNuyorican soulがカバーして話題となった傑作「I am the Black Gold of the Sun」

Rotary Connection "I Am The Black Gold Of The Sun" (1971)
http://www.youtube.com/watch?v=UzqaY4Nz0yA&feature=related
メランコリックなギターに導かれるアヴァンギャルドなピアノリフ、裏切り続ける神秘的なメロディと展開、そしてモダンなベースラインとリズムアプローチ。どれをとっても素晴らしい。フィル・アップチャーチが弾く歪んだギターが若干、古臭い印象を与えるがそれ以外は非の打ち所が無い完璧な曲だ。

Nuyorican Soul "I Am The Black Gold Of The Sun" (1997)
http://www.youtube.com/watch?v=aaSWjGIWEmM
僕が最初に聴いたヴァージョンはこっちであったが、やはりオリジナルの方が圧倒的。

ロータリー・コネクションはオリジナル曲以外にも多くのスタンダードナンバーを取り上げているのだが、これがまた例によって原型を留めないまでに解体されステップニーマナーで再構築される。

Rotary Connection "Respect" (1969)
http://www.youtube.com/watch?v=f5Eiyv9QD7M&feature=related
サザンソウルスタンダードの「リスペクト」がこんなに・・・。全く別の曲です。
Rotary Connection Sunshine Of Your Love
http://www.youtube.com/watch?v=NNZhb85SHvo
様々なユニークなカヴァーが存在するクリームの「サンシャイン~」もかなり危ない事に

殆ど00年前後の最先端のブレイクビーツサウンドと変わらないのが驚きだ。

ミニーリパートンがロータリーコネクション在籍中に録音したデビュー作「COME TO MY GARDEN」もステップニープロデュースで、モーリスホワイト、ラムゼイルイス、フィルアップチャーチ等のステップニー組がバックを固めて制作されているが、ロータリーコネクションではイマイチ活かしきれてなかったミニーのボーカルの全貌が明らかになった。サウンドのテイストはロータリーコネクションと全く同じで、この上なく仰々しく、果てしなく完璧な仕上がりである。

minnie_ripperton_-_come_to_my_garden.jpg

Minnie Riperton Completeness
http://www.youtube.com/watch?v=mY9Os1aNyPs
Minnie Riperton Close Your Eyes and Remeber
http://www.youtube.com/watch?v=sNB2m7REwWs
Minnie Riperton - Expecting
http://www.youtube.com/watch?v=hoeKsFgCh00
Minnie Riperton - Expecting
http://www.youtube.com/watch?v=hoeKsFgCh00
Minnie Riperton - Expecting
http://www.youtube.com/watch?v=7GMpoxHEG1I
どの曲も兎に角素晴らしく、鳥肌モノで僕の創作意欲をビンビンに掻き立てる。


~ステップニーサウンドを甦らせた4Hero~

創作意欲をビンビンに掻き立てられたアーティストの中には90年代よりドラムンベースシーンを牽引した「ブレイクビーツの雄」、4Heroがいた。
派手なストリングスとコーラスアレンジは完全にステップニーマナーであり、巧みなドラムワークと見事なグルーヴを演出し、孤高のサウンドを生み出していた。
05241455_4bfa14d17d9ec.jpg
98年の「Two Pages」は90年代を代表する傑作アルバムだ

4Hero - Golden Age of Life
http://www.youtube.com/watch?v=isKtcbV9DJk
00年頃は毎日の様に4Heroを聴いて、アレンジを研究していたっけ。

01年にはミニーリパートンの「COME TO MY GARDEN」からLes Fleurをカヴァー

MINNIE RIPERTON-Les Fleurs
http://www.youtube.com/watch?v=g1kDd6yBQZ4
4hero "Les Fleur" (2001)
http://www.youtube.com/watch?v=GgyEEf-0tfo&feature=related
ほぼ忠実にカヴァーしている所からも如何にステップニーをリスペクトしているかがわかる。

98年のMontreux Jazz Festival での4heroのライブ映像があったのでのせてみる





~EW&Fとステップニー~

EW&FはCadetのセッションプレイヤーであったモーリスホワイトのグループで、70年代後半のディスコブームに乗っかって多いに流行ったグループであるが、ディスコ化以前のアースには盟友であるチャールズ・ステップニーも大きくかかわっていた。
モーリスのグループだったので、メインプロデューサというよりも共同制作者的な立場でステップニーワールド全開という訳にはいかず。個人的にはさほど興味が無いのだが、ステップニーが絡んでいた時期の楽曲で「Can't Hide Love」という傑作がある。

Earth, Wind and Fire - Can't Hide Love
http://www.youtube.com/watch?v=wr0ekZlcM8E
ディアンジェロもライブ盤でカヴァーしていた、75年発表のこの曲にはステップニー臭が感じられる。特に後半、唐突にはじまり1分半も続く不気味なロングトーンコーラスは圧巻のかっこよさだ。

残念な事にステップニーはEW&Fと作業をすすめていた翌76年にこの世を去ってしまう。


~おまけ キャンディーズとステップニー~

キャンディーズが黒人音楽に影響を受けていた話は度々しているが、後期、77年頃にはEW&Fの曲がライブの重要なレパートリーになっていった。ステップニー死後のヒット曲である「Fantasy」や「Jupiter」といった楽曲であったが、78年、後楽園球場の解散コンサートでの「Fantasy」「Jupiter」におけるキャンディーズは素晴らしく、渾身の名パフォーマンスだった。

さらに、後期キャンディーズにコーラスワークというより各人のボーカルスタイルに影響を与えているであろうと思われる、The Emotions、Deniece Williamsといった甘茶系ソウルシンガーのプロデュースをモーリスホワイトと共同で手掛けていたりもする。

The Emotions - Flowers
http://www.youtube.com/watch?v=WbcbOFM4tFQ
Deniece Williams - Free
http://www.youtube.com/watch?v=imTDWIZwEDU&feature=related


ということで、今回はリンクてんこ盛りにしてみましたが、興味のある方は是非、ぶっ飛びのステップニーワールドを堪能してみて下さい~

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